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防災は”つながり”から始まる ~ハブ人材育成の体系化を目指して~
2025/12/01 (月)17:00
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2025/12/02 (火)19:00
概要・詳細
近年の災害対応では、「行政の危機管理」や「企業の防災対策」だけでは限界があり、複雑で予測不能な災害に向き合うには、平時からの人と人との関係性(=ソーシャル・キャピタル)が重要だと指摘されています。地域行事(祭り・盆踊り・運動会など)の振興や、平時からの地縁的な活動、ボランティア活動を通じて信頼や付き合いを深めておくことが、災害後の「共助」行動を高めることが実証的にも示されています。
<参考>
川脇 康生「地域のソーシャル・キャピタルは災害時の共助を促進するか ―東日本大震災被災地調査に基づく実証分析―」
布施 匡章「ソーシャル・キャピタルが防災活動に与える影響に関する分析 ―震災関連3都市住民アンケートを用いて―」
しかし一方で、近年ではこうした地域行事そのものが衰退し、地域のつながりを育む場が減少している現実もあります。少子高齢化や転入人口の増加、働き方の多様化によって、地域に根ざした行事や自治会活動の担い手が不足し、「共助」を支える基盤となる日常的な関係性が弱まりつつあります。
さらに、行政・企業・市民を横断して人と人、組織と組織をつなぐ“ハブ人材”や“コーディネーター”の育成も、いまだ体系的には進んでいません。多くの地域では、こうした役割が一部の熱意ある個人に依存しており、その人が異動・退任すればネットワークが途切れてしまうという脆弱さを抱えています。
つまり、ソーシャル・キャピタルの重要性が理解され始めている一方で、それを日常の暮らしや地域運営のなかで、いかに持続的に育み、継承していくかという課題が、今まさに問われているのです。
<参考>
菅野 拓「“やっかいな問題”の解き方としてのネットワーク」
一方、官民共創プラットフォーム「つなげる30人」は、この10年、日本各地で行政・企業・NPO・市民を越境的に結び、「公共の担い手」を自然に増やしてきました。今後は、防災分野においても“ハブ人材”育成の観点から、その知見とネットワークを生かせる大きな可能性を秘めています。
今回のセッションでは、東日本大震災の現場から活動を始め、市民主体の防災を続ける一般社団法人四番隊・伊藤代表をゲストに迎えます。災害復興の現場から見えてきたリアルを出発点に、「つなげる30人」が平時と災害時の双方でどのような力を発揮し得るのか、研究知と実践知を交差させながら探ります。